12月はアルゼンチンでは学校の年度末に当たる。これから夏休みに入って、3月から新学期がスタートするのだ。
ということで、子ザル達の通う保育園でも12月1日に学期末発表会が催された。クラス毎に出し物が違うのは日本と同じだが、こちらでは親が衣装を用意しなければならない。因みにラクのクラスは女の子は全員バレリーナで、ピンクのトップスにピンクのチュチュ、ピンクのバレエシューズ、髪は2つに分けて結ぶこと、とかなり細かく指示されている。ウタについては、お題が「キリン」となっていて、黄色の上下服にオレンジ色の(キリン)柄を付け、キリンの頭を被る、と書かれていた。
これだけ書かれていても、正直よく良く分からない。言葉が通じれば、もっと細かく先生に聞くところだがそれもままならない。頼みの通訳(ダンナ)はそろそろ始まる資格試験勉強で頭が一杯なので、怖くてあまりうるさく突つけない。
仕方なく、ダンナの仕事仲間でもあるアルゼンチン人の友人の奥さん(パウラ)を呼び出し、教えを乞うことにした。
保育園からのメモを一読した彼女は、フンフンと大きく頷きながら「まず、」と話し出した。
「ラクについては、用意するのは簡単。問題は、クラスの子全員が同じ衣装を揃えるか、それとも個々で勝手に買い揃えるかを確かめないと。ヤル気満々の親がいる場合、その人が仕切って同じ衣装を揃える場合があるから。あとウタだけど、キリンは彼ひとり?他にもキリンになる子がいるなら、親に連絡して同じ店でレンタルした方がいいわよ。」
保育園に知り合いママがいないと泣きつくと、彼女はその場で保育園に電話をし、そこで紹介してくれたママにも連絡を取り、ラクのクラスについては個々で勝手に衣装を揃えるということと、どこでバレリーナ衣装を買えるかという情報まで仕入れてくれたのだ。更には後日一緒に店まで行き、通訳をしてくれて無事にラクの衣装を揃えることができた。
歳の離れた女の子2人のママであるパウラは、長女を小学校の6年間私立に入れていたことで、やはり年度末発表会の準備に奔走したそうで、毎年お金がかかって大変だったと嘆いていた。次女は公立の保育園に通わせているが、そちらでは発表会はあれど、親に衣装を揃えるよう要求することはないらしい。親同士の新密度も私立の方が高いようで、仕事を持って日々忙しく過ごす彼女にとっては公立の方が有難いのかもしれない。
ということで、当日。
本格的なシアターを貸切りにして始まった保育園の発表会だが、小さな保育園なのに200人以上入ると思われる客席は満席で、高揚感を誘う演出と音楽のなか、終始ラテンなノリで先生と子供達のダンスが続いた。
そう、保育園の出し物は、兎にも角にもノリノリなダンスだったのです。
ノリノリといっても、子どもらしい”ノリノリ”ではない。ここはクラブですか??と思うようなダンスミュージックと照明で、親までノリノリ。日本人さえノリノリ。
日本の保育園では、発表会でも運動会でも泣き顔しか見せなかったラクだが、今回は自分こそが主役のような顔をして、堂々と踊っていた。親は2人で口あんぐりである。しかしながら、ラクのバレリーナ姿は我々にとっては可愛かったが、クラスメートの中では最も地味だったことを付け加えておこう。一番親の気合いが足りなかったとも言える...
そしてウタ。今回の日記はウタが主役です(そういえばそうだった)。
彼のもらった「キリン」というお題は、クラスの中で最もハードルが高かったことは間違いない。
というのも、何をどうしてもキリンの頭が前に垂れてくる。その姿は、遠目で見ると落ち込んで肩を落としている馬のようだ。ちょっとキリンには見えない。ジャマなキリンの頭を気にしつつもダンス系ミュージックに合わせて飛び跳ねるウタの姿は、涙と笑いを誘った。いや笑いの方が大きかった。
元気に飛び跳ねるライオンやカバや鳥の中で、動きを封じられ、肩を落とした馬、いや、キリン。それでも最後は頭をボヨンボヨン揺らしながら、飛んでいた。えらいよアンタ...
日本の保育園の発表会は、先生達の綿密な計画と周到な準備のもとで、何週間も前から練習を重ね、その練習の成果を見せる場であった。子供達の衣装や小道具は全て先生たちの手作りで、そのアイデアと器用さはため息モノ。きっと毎日残業して作られたのだろうから、それを想うだけで涙が出そうになる。出し物も、小さい子は踊りだが、大きくなれば長い劇が展開される力の入れようである。
反してアルゼンチンでは、衣装は親に一切を任せ、出し物は踊りだけ。練習もしただろうが、真剣さは感じられない。ノリが命で、当日は楽しめればいいという感じがする。ラテンミュージックと明るい国民性で、発表会は親ともども素晴らしく盛り上がった。拍手と口笛が飛び交い、リラックスした雰囲気のなかで、最後は親も子もステージに上がって音楽に合わせて踊る。
というわけで、ウタのキリン、お楽しみください。
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kana (土曜日, 03 12月 2011 19:49)
声を出して泣きました
もちろん笑い泣き かわいすぎる
ウタちゃんえらいよ
ロバ、じゃなかったキリンがんばったねー!!!
さすがラテンの国、音楽もさることながら、子供たちのリズム感良すぎ。
やす (火曜日, 06 12月 2011 00:32)
お~!!!!がんばった!!!よくあの頭で動けたよね~!!!!すごい!
うちの幼稚園は全部衣装は他の人に頼んでるよ。でも 毎年なぜだか 誠人のクラスだけお金がかかってる割には地味・・・・
先生がいくら変わっても地味・・・
こっちの子達は本当に小さいときから踊るの好きだよね~!誠人も踊りべたなパパ、ママを持つわリには 踊りが好きで今もピンクパンサーの音楽を口にしながら一人で考えた踊りを踊ってたよ!
うたちゃんのクラスで使われてた歌は 漫画の歌だから(Madagascar)みんなよく知ってるしリズムもあるから皆好きだと思うよ。
私は12日に年末の演劇に初出演!!!!3年前から誠人に言われてたんだよね・・・・がんばります!しかも、曲がすごいの・・・Black eyes peaseのI gotta feeling・・・・トナカイの格好で・・・・
Yukari (火曜日, 06 12月 2011 02:43)
かなちゃん:
観てくれてサンキュ~!
当日までは「キリン」を宛がった先生を少し恨みましたが、親の自分が一番笑っちゃった。アノ人には笑いの神が時々宿ります...
てっちゃん (水曜日, 07 12月 2011 22:26)
すごねっ!!本格的でびっくり!!
ノリが違うね~。さすが、アルゼンチン!!
ウタちゃんも、ラクちゃんも、堂々としたもので、素晴らしい!!
頼もしく思えました。
それにしても、アルゼンチン人のお友達の奥さんがいてよかったね~。