これがアルゼンチン全土に共通するのか、はたまたブエノスアイレスだけなのか定かではないが、停電が多い。暑くなってきた11月後半から数えて既に4回の停電。
最初の2回は夜になってからの5時間程度だったが、3回目は夕方から翌日のお昼過ぎまで続き、同時に断水にもなって文字通り途方に暮れた。トイレが流せないというのが致命傷で翌日は朝から外に避難し、夕方近くにビクビクしながら帰宅したらどちらも復旧していて、まさにバンザイ三唱。
どうも暑い日が少し続いたりすると弱いらしく、どのお宅も冷房フル稼働しているような、西日が暑すぎる夕方に何の前触れもなく電気が落ちる。そして日が完全に落ちる頃になって周りを見渡し、うちのブロックだけが停電なのか、停電仲間のご近所ブロックがあるのかどうかが分かるのだ。うちのビルだけじゃない分かって、不思議な安心感と少々の連帯感を感じて数時間後、晴れて電気が戻った瞬間には方々から歓声と口笛が鳴り響く。
日本なら、「なんでこんなに頻繁に停電するんだバカヤロー。」くらいの苦情電話が電力会社に殺到しそうなものだが、そういう気配は微塵も感じられない。みんな停電について不満を言うより、それはそれと諦めて、復旧した際に電気のある素晴らしさに感謝して喜ぶ、という風である。ある意味、停電はブエノスアイレスの夏の風物詩なのかもしれない。
停電と同時に断水になった時、朝から子供のプレイルーム付きのマクドナルドに朝食とトイレを兼ねて出掛けた我が家だったが、7階からエッチラオッチラ2匹の子ザルとバギーを持って真っ暗な階段を降りていくと、途中でロウソク片手に我々と同じく子連れで階下に向かっていた住人とお喋りする掃除のおばちゃんに出くわした。するとビルの管理人でもあるおばちゃんは、断水については知らなかったと言う。だからと言って慌てる風もなければ、「困ってるでしょう小さなお子さんがいて~。」みたいな同情もない。あえて言うなら、「あら水も?」くらいである。
毎夏何回か必ず停電やら断水が起こっていれば、住民としては「またか。」くらいのものだろう。
確かに暑い時期に電気がないと非常に困るが、日本も時々やってみてはどうかと思う。便利な安心大国に暮らしていると、ちょっとした”不便”でも非常に苦痛だ。だが、その”不便”が常にすぐそこにあると思っていれば、誰でも事前に備えをするだろう。
今回こうした”不便”を味わって、軟弱ニホンジン主婦にとってはいい勉強になったと思う。
ウタも、「停電」という新単語を身をもって覚えました。
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