2011年

9月

29日

アルゼンチンのいいところ。

アルゼンチンに来て嬉しくなったことを書こう。

日本に、特に東京に住んでいると、見知らぬ人は見えていないのと等しい。見えているけど、見ないことになっている。それが暗黙の了解だ。見えていないのだから、他人に何が起ころうと知らぬ顔を決め込む人が多い。悪気はないけど、見知らぬ他人の事情には極力介入しない雰囲気が溢れている。良くも悪くも、それが東京という街だし、住んでいると自分もそれに染まっていく。

 

ところが、やはりアルゼンチン中の人の寄せ集めであるブエノスアイレスに住んで驚いたのは、人と人の距離が近いことである。それは挨拶にも、言語(スペイン語)にも表れている。初対面の人同士で頬を合わせるのもそうだし、言葉自体も非常にインフォーマルらしい。

現在通っているスペイン語のプライベートレッスンで、私がこう言いたい、と言うと、先生のスペイン語訳はかなりフランクな言い方になる。それじゃあ失礼にならないか、と尋ねると、「アルゼンチンは”インフォーマル”な国だから、それが普通よ(笑)。」と返ってくる。

 

でも、それだけではない気もしている。ここでは、他人に親切にすること、親切にしてもらうことは、状況によるだろうが当たり前のことのようだ。

 

日本からの郵送物を受取所に取りに行ったとき(ここでは市内に届く海外からの宅配便は全て一ヵ所に届くので、受け取りに行く必要がある)、人でごった返す待合室で、若い男性が初老の女性の為に彼女の受取り用紙を記入していたのを見た時には感動すらした。

子連れでバスや電車に乗れば、近くの人が必ずすぐに席を立ってくれる。遠くの人でも、こっちにおいでと手招きして席を立つ。妊婦が電車に乗ってくると、自分の前に立たなくても近辺の誰かがスっと席を譲る。妊婦も特に感動した様子もなく、当たり前に空いた席に座る。

昨日は保育園の帰りに、石畳の道の真ん中でバギーが動かなくなった。ムムッ…と思った瞬間に、前から歩いてきた10代の男の子が、バギーの手前を少し持ち上げて助けてくれた後、何事もなかったように通り過ぎていった。

 

子ども達への見知らぬ大人のまなざしも優しい。ウタが失礼なことをしても、怒る人を見たことがない(だからと言って、図に乗っていいわけがないぞ)。ステキなおばあちゃま同士が歩いていて、ウタが通せんぼをしたら(ギャーッ!)、逆にウタを通せんぼして笑って去って行った。言葉が不自由で、子どもの”悪事”のフォローもできない親としては、拝みたいほど有難いわけです。

 

アルゼンチンは日本ほど治安も良くなく、街中の道路は犬のフンでいっぱい、フルタイム就労率も低く、国としては多くの問題を抱えている。でも人は明るく、基本的に親切で、(こういっちゃ何だが)アメリカのようにエキセントリックな人がいない。そういう意味で、我々のような子連れ家族にとっては、非常に住みやすい国と言えるだろう。

 

東京も、3月の震災当日には、タクシーが同じ方向に行く人を乗せ合う”乗合タクシー”になったり、帰宅方法が分からない人同士が情報を交換しあったりして、助け合う姿が見えたと聞いた。

何ごともない日も、同じ街に住む隣人として見知らぬ人同士が、気軽に助け合う慣習ができるといい。(なんだろ、この終わり方…)

 

 

↓撮っただけになっていた写真で、少しだけブエノスアイレスのご紹介。

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2011年

9月

08日

ホッペにチュー

アルゼンチン生活3ヶ月目に突入し、歩道にバンバン落ちている犬のフンも軽やかによけられるようになった今日この頃だが、まだ慣れられないものがある。時々ならいいけれど、こっちでは毎日誰かしらにしなければならないし、される。それは何か?ずばり、挨拶の際にするKissなのです...

 

こちらでは、挨拶する時に初対面であってもホッペにキスをする。いや正確に言えばキスではない。ホッペ同士を軽くくっつけて、チュッと音を出してキスの真似をするのだ。

保育園の送迎時、先生たちは挨拶しながら各親とキスをし、更に子供達ともキスをする。多分、同僚同士でも朝晩1回ずつやってるだろうから、一日合計として何回キスしているのだろうと思ってしまう。ホッペがカサカサしていたら、挨拶の際に「ごめんなさい、今日ちょっとホッペが荒れてて...」なんて言い訳が必要になったりしないだろうか。逆に、「あら、ホッペ今日荒れてるわよ、大丈夫?」とか...?

 

それは考えすぎとして...スペイン語ができない私は、今のところ保育園関係者と親しくなれない状態だ。何しろ会話が成り立たないのだから、仲良くなりようもない。基礎中の基礎のあいさつしかできない私なのに、毎日ホッペにチュー(じゃないけど)。普通ならチューした後には「今日ウチの子どうでした?」なんて会話が始まるのに、私の場合はチュー止まり。

更に私の場合、親しくない相手に対して積極的に自分のホッペを近づけられない奥ゆかしさが邪魔して、チューのタイミングが図れない。こっちが少しでも身構えた様子を見せると、相手もチューできない雰囲気が一瞬のうちに漂う。その空気が出た瞬間に、チューは無しとなるのだ。こういう時は「しまった!」と思うが後の祭り。

 

これじゃイカンと思い、今週から心を入れ替えてスペイン語の勉強をすることにした次第だ。目標はもちろん、『チューした後に会話』です。会話が少しでも繰り広げられれば、チューは克服できるに違いない!

 

うちの子ザル達は、そうして毎日チュー(子供の場合は本当にホッペにチューしている)漬けにされる生活を送っているので、家族間でもチューが多くなった気がする。嬉しいけれど時にウザい。口の周りにおかずがベッタリ付いていてもラクがチューしてこようとすると、つい避けてしまう。

保育園の終了時間が5時までに伸び、ますますスペイン語漬けの生活を強いられている子ザル達が、この後どこまで言葉を理解するようになるのか、楽しみである。因みに今のところ全く理解できていないようだが...

 

 

 

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